ねいぴあの世迷い言

つれづれなるまゝに、をりをり、ぱそこんにむかひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

レジ袋に見る非対称性

「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の省令改正(容器包装リサイクル法)」の省令改正により2020年7月7日からプラスチック製買物袋を有料で提供することが義務付けられた。これにあたって感じたことをまとめておく。

筆者は改正前も改正後もマイバッグを持参している。これには主に二つの理由がある。

・レジ袋の耐久性

筆者は自転車で買い物に行くため、商品を詰めたレジ袋を自転車かごに入れているとレジ袋に穴が開く現象があり、耐久性のあるポリプロピレン製あるいは布製のマイバッグを使用している。加えて多くの商品を買った場合にレジ袋の持ち手が伸びてしまい、細くなった持ち手で手が痛くなるケースが多く、比較的持ち手が広く耐久力のあるマイバッグを活用してダメージを軽減している。

・レジ袋の大きさ

コンビニなどで少量の買い物をする場合にはレジ袋の大きさは問題になりづらいが、スーパーなどで多くの買い物をした場合、複数のレジ袋を使用しなければならないことがあるため、容量が大きなマイバッグを利用している。

これら二つの利点を優先してマイバッグを使っているため、以下で挙げる問題は金銭面や環境問題に対する実際の影響への言及ではない。ただし「エコというプロパガンダのもとにレジ袋有料化がなされた」という命題は真であるものとして議論を進めてみたい。

レジにおけるやり取り

店員さんとの会話から確認すると、

<改正前>

 店員さん「(無言)」

 レジ袋を貰う人:「(無言)」

 レジ袋を貰わない人:「レジ袋要らないです」

という形になっており、エコというプロパガンダが正しいとするならば(環境に優しい行動をしているはずの)レジ袋を貰わない人の手間が多いのは不可解である。さらに言えば

<改正後>

 店員さん「レジ袋は要りますか」

 レジ袋を貰う人:「レジ袋が要ります」

 レジ袋を貰わない人:「レジ袋要らないです」

という形になっており、レジ袋を貰わない人の手間は変わっていない。それどころか、店員さんとレジ袋を貰わない人の手間まで増えていて、(全体として)やり取りに無駄が生じているとしか思えない。エコのことを考えるのであれば、

<改正後_改>

 店員さん「(無言)」

 レジ袋を貰う人:「レジ袋が要ります」

 レジ袋を貰わない人:「(無言)」

とすべきではないだろうか。もちろん、サービスやクレームのことを考えると「レジ袋は要りますか」と尋ねる現行の方式は理解できる。さらに、環境負荷軽減という代償のためにやり取りが増加していると考えることもできるので、ある側面で正しいのだということも理解している。しかし、それはエコという一貫性がない最適化を行っているようにしか感じられない。

レジにおける袋詰め

スーパーなどの袋詰め台があるところでは、レジ袋を貰う人もレジ袋を貰わない人も一律に自分の買った商品を袋詰めする。しかし、ドラッグストアやパン屋などの袋詰め台がない小売店では、

<改正前>

 レジ袋を貰う人:店員さんが袋詰め

 レジ袋を貰わない人:自分で袋詰め

<改正後>

 レジ袋を貰う人:店員さんが袋詰め

 レジ袋を貰わない人:自分で袋詰め

となっていて、レジ袋を貰わない人自身が、後ろで並んでいる人や店員さんを待たせながら自分で袋詰めを行わなければならない*1。レジ袋を貰う人はお金を払っているので、袋詰めサービスは行われて当然かも知れない。しかし、これもまたエコというプロパガンダが正しいとするならば、レジ袋を貰わない人こそ袋詰めを店員さんにしてもらう、

<改正後_改>

 レジ袋を貰う人:自分で袋詰め

 レジ袋を貰わない人:店員さんが袋詰め

が正しいように思う。2020年の情勢を鑑みるとこれが叶わないことは明らかなので、レジ袋を貰わない人の厳しい立場は変わらないことが濃厚である。

筆者の想定したプロパガンダが異なっている

「エコというプロパガンダのため」という仮定をおいて物事を考えてきたがこれが間違っていたのである。

レジ袋有料化のホームページを読むと、環境問題への言及の後、

消費者のライフスタイル変革を促す*2

と述べられている。つまり「ライフスタイル変革のため」にレジ袋を有料化せねばならないのである。いやいや、待て待て、前述のように、レジ袋を貰わない人のライフスタイルは変わっていないではないか。そうではなく、レジ袋を貰う人のライフスタイル変革を促すのであれば<改正後_改>の形を取らねばならない。

その辺を丸きり無視して「ライフスタイル変革を促す」という目標が正しいとしても、これは有料化により消費者のライフスタイル変革が起こったのか事後調査を行わなければならない。この調査が行われ、消費者のライフスタイルに変革が起こったとする結果が出れば、筆者の主張を取り下げ、納得した上で、改正前と改正後でライフスタイルに変化はないが「レジ袋は要らないです」と引き続き発声することとしよう。

*1:筆者は少額の買い物であってもクレジットカードを利用することにより、カードの決済処理時間を活用して袋詰めを行うという、店側や店員さんにとっては迷惑な行為を行っている。

*2:レジ袋有料化 - 経済産業省https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html